―9― この度は神奈川県理学療法士会創立50周年、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。 一昨年、年明けと同時に突如として新型コロナウイルスとの闘いが始まり、不自由な生活を強いられる中で、早くも3年目を迎えております。昨年末からはオミクロン株により急激に感染者を増やし、一時は医療が逼迫する状態に陥りましたが、ここへ来てようやくその勢いに陰りが見え、まん延防止等重点措置も間もなく完全解除を迎える見通しとなりました。とは言え、まだまだ感染者数は高止まりの状態が続いており、安堵の息を漏らすには早いという状況にあります。引き続き、感染予防に努めることが求められていることに変わりはありません。 さて、理学療法士の歴史は1966年に実施された第1回理学療法士国家試験により誕生した183名の理学療法士に始まります。以来、半世紀余りが過ぎ、資格法たる「理学療法士及び作業療法士法」制定当時とは疾病構造や社会背景も大きく変化しました。当然、科学は日進月歩、理学療法学という治療科学も大きく進歩し、求められる役割も医療にとどまらず、予防、産業、生活、地域等々へと拡大の一途を辿っています。特に健康寿命の延伸、フレイル予防等々、少子高齢社会の到来に向けた持続可能な社会づくりや生産性の向上といった喫緊の国策に沿った方向での貢献が大きく求められる昨今となっております。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、超少子、超高齢社会を迎えて様々な局面における技術革新と社会の仕組みの在り方が問われていた最中にあって、否応なく生活様式、生産現場における様々な変革を強力に後押ししました。人と人の距離が離されることによって、対人サービスを主とする様々なサービス業にある人たちは、その在り方そのものを考え直さざるを得なくなりました。それは理学療法においてもまったく例外ではありません。医療、介護、地域、産業、就労支援等々、理学療法サービスの範囲は多様多岐にわたりますが、それぞれの場面でその在り方を考え直す時期に来ていると感じます。 そのような状況に鑑みても、70年前の医療制度は未だに大した改革もなく、旧態依然としていることに、誤解を恐れずに言うなら、政治や行政の怠慢を感じざるを得ません。国民からのニーズが拡大し多様化、高質化するなら、それにしっかりと応えるのが政治や行政の責任であります。 神奈川県理学療法士会創立50周年というこの機会に、理学療法士としてこれから大きく変容する社会からのニーズにどのように応えていくのか、また、どうすれば応えることができるのか、理学療法士らしく真摯に考え、行動する機会として頂きますようお願いしまして、私からのお祝いの言葉とさせて頂きます。参議院議員・理学療法士小 川 克 巳神奈川県理学療法士会創立50周年によせて
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